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M&A成功のカギは“その先”にある─PMI(経営統合)とは
2025.04.26

M&Aは「買う」だけで終わらない。真の価値創出は、その後の組織・仕組み・人材をいかに融合させるか──これがPMI(Post Merger Integration)の役割です。本記事では、PMIの全体像をシンプルに解説し、実務で使えるポイントをお伝えします。
1. PMIの意義と狙い
- シナジー創出:買収・合併前のシナジー想定を、実際の業務や組織運営で具現化
- リスク低減:文化摩擦や情報断絶による離職・顧客離れを未然に防ぐ
- 早期成果確保:“いつまでに何を達成するか”を明確化し、M&A投資の回収スピードを加速

2. 3つのフェーズで進めるPMIのステップ
フェーズⅠ
約1カ月
• 統合チーム設置
• 現状分析(SWOT・組織・財務)
• 統合ビジョン&スケジュール策定
フェーズⅡ
約3カ月
• 経営統合:中長期戦略・KPI設定・投資計画
• 業務統合:手続・会計・システム統一
• 社員コミュニケーション(説明会・面談)
フェーズⅢ
約6カ月
• KPIモニタリング
・効果検証
• 改善施策の実行
• 知見のナレッジ化

3. 実務で押さえるべき3つのポイント
① “見える化”&報告体制の徹底
- ダッシュボードを設置し、フェーズごとの進捗を可視化
- 定期的なステアリングコミッティ報告で、経営層・関係部門の合意を得る
② 人材戦略は“早期配置”が肝
- 譲渡先のキーマンを早期常駐させ、現場実態をリアルタイムに把握
- 新旧リーダーによる共同育成プランで、組織統合をスムーズに
③ 自社流“PMIモデル”の構築
- 汎用的フレームワークに、自社のカルチャー・手順をあらかじめ組み込む
- 統合前から主要論点を洗い出し、「ここでシナジーが出ないなら見直す」といった判断基準を設定
4. 成功事例から学ぶ:小さな改善が大きな成果に
- 事例A社:M&A前に統合KPIを売上貢献ではなく「顧客維持率」に設定。結果、買収先顧客の離脱を20%抑制。
- 事例B社:フェーズⅡで全社説明会を月2回開催し、「なぜ統合が必要か」を全社員に落とし込む。離職率を5%改善。

5.「PMIこそがM&Aの本番」
- 契約締結後のPMIに最大のリソースを投下
- フェーズⅠ~Ⅲを設計どおりに推進し、常に“見える化”
- 自社流のPMIモデルで判断基準を明確に
- 定量・定性の両面で成果を評価・改善
M&Aは“ゴール”ではなく、新たなスタートライン。組織統合のあらゆる課題を乗り越え、期待を上回るシナジーを継続的に手に入れる一歩を、踏み出すきっかけになれば幸いです。